宮沢賢治と限界芸術

世間はお盆休みらしい。フリーターはみんなが休みの時に働く!

とはいえ、今日は労働的なことはやめて、散らかった机の上を片付けることにした。スピーカーを本棚の上に移して、100円ショップで買ってきた箱に本棚のCDを入れスピーカーのあった場所に置き、机の上以外に置き場のなかった本をCDのあった場所に並べた。
自由芸術大学の読書会で宮沢賢治を読んでいる。『ヒロシマノワール』著者の東琢磨さんが、SNSに示唆的なコメントを入れてくれていた。鶴見俊輔の『限界芸術論』に宮沢賢治の芸術論についての言及。本棚を探したけど『限界芸術論』は無かった。以前、福生に住んでいた時、小旅行がてらだろう、よく人が遊びに来た。飼っていた犬と猫に会いに来ていたのかもしれない。話していて、自分が持っている本にその時の話の内容があるときなど、すぐに本をあげていた。みんなはその本をちゃんと読んだのだろうか?多分、それほど読んでないと思う。で、そういう時に『限界芸術論』もあげてしまったのだろう。持っていたはずの本が読みたいときに見つからない。よくあることだ。近所の古本屋に探しに行く。『限界芸術論』は無かったが、町田市国際版画美術館『版画|80年の軌跡』上下巻、美術手帖『イスラームのかたち』、菅谷規矩『宮沢賢治序説』、そして、小倉利丸『カルチャー・クラッシュ』を買う。全部で1300円+消費税也。明日は阿佐ヶ谷の古本屋に行こう。

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芸術作品について、無からそれを作り出すのだから素晴らしい。という誉め言葉をよく耳にする。果たして、芸術は錬金術なのだろうか。白いカンバスや絵の具は無なのだろうか。そのような芸術にまつわる議論をよそに、いま無から価値を生み出しているようにも思える仕組み、暗号(計算)主義とも云えるような社会形態が生まれつつある。ビットコイン/ブロックチェーンによる新しい経済システムだ。そして、そのシステムは芸術の根源と無関係ではないだろう。

以前より、一度ビットコインを試してみたかったのですが、それがどういうものかがよく分からないし、マウントゴックスは大量紛失するしで、後回しにしてきました。現在では、大手の銀行資本が参入して、簡単に地域通貨(円)との交換が出来たり、ビットコインで買い物が出来るようになってきているようです。ビットコイン取引所に登録してみようとしてみましたが、本人確認書類に写真入りの運転免許証やマイナンバーカードが必要で、そんなものは持ち合わせていないので、完了できませんでした。
しかしともかく、blockchain.infoでWalletを作ってみました。もちろん残高は 0 BTC です。僕がいろいろと頑張っている芸術活動や作品の創作活動を常日頃からサポートしたいと思っていた方は、この機会にビットコインで寄付してみてください!

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あらゆるHTTP通信をHTTPSに置き換える動きが活発になっている

自由芸術大学で小倉利丸さんと共に、プログラミングなどの専門的な知識がなくても出来る、ネット上のプライバシー保護のセミナー「プロプライエタリ社会をハックする」を行っている。次回は9月5日(火)19:30からの予定だ。自分も学びながらのセミナーで、自身の実践が重要だと、出来る限りセキュア―なソフトウェア―やアプリを使うようにしている。また、これまでこのサイトや自由芸術大学のサイトなどの CMSの管理画面のみHTTPS (Hypertext Transfer Protocol Secure) 接続にしていたが、サイト全体をHTTPS化することにした。自動的にHTTPSにリダイレクトされますが、これからは下記URLより、HTTPS接続をお願いします。

「現実界の砂漠へようこそ」 https://www.artnomad.net/

農民芸術の興隆と文明の没落

自由芸術大学の読書会で、宮沢賢治『農民芸術概論綱要』を読んでいる。賢治がその理想を実践しようとするマニフェストともいえる芸術論だ。農民芸術概論綱要 第2章の「農民芸術の興隆」のメモにその名前も出てくる室伏高信のベストセラー『文明の没落』に影響を受けて書かれたとされる。

ヒトラーの『我が闘争』も翻訳した室伏は戦前・戦中。戦後と思想的変節を繰り返し、戦後には日和見主義者の烙印を押され、論壇から追い出される。現在、室伏について語る人は皆無だ。『農民芸術概論綱要』を検証するためには『文明の没落』を読むことが必要なので、賢治のメモに引用の多い「文明の没落(その二)」をPDFにまとめた。『農民芸術概論綱要』の何が正しくて、何が間違っているのかを測ることが出来るかもしれない。

室伏高信「文明の没落(その二)」

https://cloud.freeart-univ.org/index.php/s/iea2ASsyCPHCm9m

農民芸術概論綱要

「芸術とは何か?」という問いを立てる時に、多くの人たちが立ち止まって考えることになる、宮沢賢治の『農民芸術概論綱要』。「芸術をもてあの灰色の労働を燃せ」、「風とゆききし 雲からエネルギーをとれ」という名句ともに、「永久の未完成これ完成である」という批判の多い文節で閉じられるこの要綱は、岩手国民学校で講義した「農民芸術論」をまとめたものだ。この綱要を書いたのち、二月後には近代農業と農民芸術の学校「羅須地人協会」の設立を宣言し、理想の実践を試みました。

自由芸術大学の読書会で、マロリ・フロム『宮沢賢治の理想』の「農民芸術概論綱要」注釈を参照しながら読んでいます。しばらく続きそうなので、ぜひご参加ください。

苺一会~真愛~ペルシャ

狐と狸の化かし合いが社会全体を覆っている。混沌は暴力を呼び覚ます。そこで善や愛を歌うことも出来るが、あっという間に資本に回収され、そこで作られたムダ金が格差を生み出し、化かし合いに使われる。非暴力であることは、言葉に頼ることになりがちだが、プレカリアートをマルチチュードと言い換えてみたところで、事態は何も変わらない。今、決定的に欠けているのは心のきれいさだ。
 
一人の少女に出会った。少女という言葉が何歳までを指し示すのか知らないし、ここでは関係がない。少女はこころのきれいさの象徴なのだ。少女はプロではないシンガーソングライターだ。ヒット曲を作るためには資本への忠誠が必要だが、作りたいときに曲を作り、歌いたいときに歌う。これがほんとうの音楽というものだ。そして彼女の流れるような曲や歌声や仕草、音程の揺らぎに心のきれいさがにじみ出してくる。彼女たちは「いちご牛乳」というバンドを組み、気が向いたときに「苺一会」というイベントを開いている。ダジャレにさえ心のきれいさ可愛さが込められるものなのだ。「真愛 – Zhen Ai」という二胡と箏の演奏で歌うオリジナル曲もある。アジアの感性のひとつの表現だ。いま、彼女はイランの音楽を日本で紹介したいと研究に励んでいる。

 

谷中安規の夢 - シネマとカフェと怪奇のまぼろし –

阿佐ヶ谷にコンコ堂という趣味に合う本を置いている古本屋がある。そこで見つけた『谷中安規の夢』
6千円台と自分にとっては高かったが、400点ほどもある作品図像はお金には代えられないと購入した。
コーヒーとニンニクを食い、空襲の焼け跡に建てた掘立小屋で餓死という、版画家貧乏伝説とはかけ離れた作品の数々。
昭和21年に49歳で安規が餓死ぜざるを得なかったのは、版画のせいではなく、やはり戦争のせいなのだ。

シュルレアリスムと原爆の図

1941(昭和16)年にシュルレアリスム事件と呼ばれる弾圧が起きる。評論家の瀧口修造と美術文化協会の福沢一郎が8か月もの拘留を受けた。1925年に治安維持法が出来ているのだから、もはや誰だって捕まえられる。その後は翼賛的な宣言文を書き、自粛しつつ会を存続することにしたようだ。その「美術文化協会」に作品を出品していたのが、丸木位里・俊である。丸木夫妻もまたシュルレアリストであったのだ。丸木位里は水墨画の技法「流し込み」にシュルレアリスムを見ていた。原爆の図でも、これでもかというほどに流し込みの技法が使われている。アンドレ・ブルトンのシュルレアリスム宣言にある「だれだれはなになににおいてシュルレアリストである」に倣って言えば、「丸木夫妻は反核・反戦においてシュルレアリストである」となるはずだ。