故郷と貧乏くささ

昨年秋、秋田県知事が愛媛特産のじゃこ天を「貧乏くさい」といったらしい。我が愛媛には他にも貧乏くさいソウルフードがある。

〔三津浜焼き〕お好み焼きのようなものですが、小麦粉をクレープのように薄く延ばして魚粉をかけ、キャベツ、天かすを載せて割入れた卵の上にかぶせて半分に折ったもの。他のお好み焼き同様、肉や麺を入れることも可能ですが、半分に折ることが前提なので、広島のお好み焼きに比べて具の量が少なく貧乏くさいのです。しかし、この貧乏くささが忘れられない味となるのです。キャベツ、天かすのみの素焼きが最高においしい。
〔黒いおでん〕継ぎ足しして年季の入った黒い出汁に竹串に刺した具をよく煮込んだもので、からし味噌でいただきます。もちろんじゃこ天も定番のおでん種です。

どちらも子どもの頃に食べてから何十年も口にしていませんでしたが、お好み焼きを食べた時には、近所のテーブルが一つしかない店でおばちゃんが焼いてくれた三津浜焼きを思い出し、白いつゆのおでんを食べた時には、海水浴の帰りに友人たちと寄っていた堀江のおでん屋の黒いおでんとからし味噌の味を思い浮かべていました。最近〔三津浜焼き〕は松山のソウルフードとして、少し話題になっているようです。三津に行けば駅前に古くからやっている三津浜焼きの店はあるし、市内にも新しい店が増えていました。〔黒いおでん〕は松山のおでん屋なら大体黒いのかもしれませんが、その堀江の海水浴場近くのおでん屋しか行ったことが無いので、よく分かりません。お酒の飲める年齢にはすでに上京していて、松山でおでん屋に行く機会もなかったし、家で食べていたおでんも東京のものと変わりませんでした。愛媛県庁がやっているらしいYoutubeでタレントの友近が山西駅前の「日の出食堂」を紹介していて、そこには夢にまで見たあの〔黒いおでん〕があるじゃないですか。今回帰省ついでに山西まで足を延ばして「日の出食堂」の〔黒いおでん〕を堪能してきました。黒いだし汁に浸かったくし刺しのじゃこ天は色がより黒くなって貧乏くささが増していました。

「日の出食堂」は今やあまり見ることのない家族経営のほのぼのとした昔ながらの食堂です。店の雰囲気とも相まって、さらに美味しく感じます。