グーグーとしての木幡和枝さん

日曜日にネットテレビで宮沢りえ主演の『グーグーだって猫である』を見た。普段であれば見ない番組だが、なぜだか見る気になったのだ。ホームレス役の田中泯さんが宮沢りえに猫(グーグー)を渡していた。漫画家大島弓子原作のドラマはグーグーが死んで終わる。

翌日の15日に木幡和枝さんが亡くなったことを今日知る。田中泯さんと知り合ったり、それまで敬遠していたいわゆる「運動」界隈に関わるようになったのも木幡さんがきっかけだった。ニューエイジのバイブル的なライアルワトソン『生命潮流』の翻訳者として名前だけは知っていた木幡さんが東京芸大でアントニオネグリの招聘イベントを開くそのボランティアを募集していたので参加したのだ。数カ月の関りだったし、結局その時ネグリは来られなかったのだが、いろいろ面白いことが起きた。モラルを超えて何かを呼び覚まそうとする木幡さんに「表現と運動」について教えてもらったのだと思う。

そして木幡和枝さんはグーグーになった。
衷心より哀悼の意を捧げます。

タバコと平和

ある方から今年のお年賀にピース缶をいただいた。両切りタバコはワイルドだ。何を思って贈ってくれたのかわからないのだが、自分の関わっていることに繋がっていたりもするのが面白い。65年前にビキニ環礁での米軍による水爆実験で第5福竜丸など日本の漁船や現地の人々が被爆した。その事件を受けてここ杉並を発祥とする水爆禁止署名運動が興ったのだ。その署名運動のポスターは初めのデザインでは原子雲と原爆ドームが描かれていたらしい。水爆禁止署名運動杉並協議会議長の安井郁は「私たちは原水爆の脅威から来る暗い面よりも、その禁止から来る明るい面を強調することを心がけました。明るい未来を目指す運動においてこそが、民衆のエネルギーは大きく盛り上がるのです」と考え、ピースの箱の青を基調に文字だけのデザインに変更したそうだ。今回杉並で初展示する丸木位里・俊の描いた原爆の図第10部《署名》はその明るさやナショナリズムを感じさせるモチーフに対して当時、批判を受けていたのだが、水爆禁止署名運動の意思を受けてのものだとしたら、《署名》の絵は平和への意思がこもった希望を感じさせるものになるはずだ。

今年の三月に開かれる《署名》展示イベント「原爆の図第10部《署名》を見よう」の情報は https://peace-suginami.org/ をご覧ください。

公園の中のチャイルドシート

電動アシスト自転車に設置されたチャイルドシートはSFに出てくる乗り物のように思える。1960年代の幼稚園の頃、遊ぶときに親が見守っていた覚えはほとんど無い。チンチン電車の線路には自由に入れたし(実家の近くでは今でもそうだ)、空き地も多く、野良犬もイタチも出没していたので、当時の方が安全だった事にもならないだろう。安全安心が確保されたわけではなく、私たちの恐れが増大しただけなのだ。