篠原有司男とボッティチェルリ

『ASCA 芸術の現在・現代の美術』というサイトにある、「 版 」 の概念とその可能性について - 現代・美術における「身体」との関わりからの一考察 - 福島大学 渡辺晃一 / 福島大学大学院 荒木久美子 「第3章 現代・美術における<版>の概念」の中に面白い記述を見つけた。

「物の表面」が、妄想を触発することを示したのはしかし、シュルレエアリストが最初ではない。ボッティチェルリ( Sandro Botticelli、1444/45ー1510)は、絵の具を含んだ海綿を壁に投げつけて、そこに出来たしみに「美しい風景」を見た。

篠原有司男のボクシング・ペインティングの源流はボッティチェルリにあったということだ。

Tシャツの版下として作った木版

tshirtsprint

木版画Tシャツワークショップということで、昔(20年以上前)Tシャツのシルクスクリーン用の版下として作った木版の版木があったので摺ってみました。モチーフは薔薇ですが、なんで薔薇かというと「美術」を表現したかっただけで、深いなにかはありません。4版使っていますが、1版ずつ墨で摺って、シルクスクリーンの版下にしました。網点で写真製版したわけではないので、摺り跡は残りませんが、木版が下絵ということはTシャツでもわかったと思います。

スクールキングバレンと手作りバレン

チラシ

木版Tシャツワークショップのチラシを摺った。風邪が治っていないせいもあると思うが、25枚でけっこう手首にきた。世界堂で280円で売っている学童用の「スクールキングバレン」では大量に摺ったり、大きな版は無理があるのかもしれない。

手作りバレン

しまいこんでいた手作りのバレンを引っ張り出したが、さすがに竹皮が破れていた。竹の皮と和紙だけで作る「本バレン」ではなく、タコ糸やベニヤを使って作ったものだが、よく摺れていたと思う。

道具にこだわり始めるときりが無いし、民衆運動としての木版は安価で簡単に作れなくては駄目だと思うところもあり、悩ましいところですが、竹の皮を手に入れて包みなおして使ってみてから考えたいと思います。

2014年6月8日 革命的木版画Tシャツワークショップ

第2回版画ワークショップを6月8日(日)午後3時から、新宿IRREGULAR RHYTHM ASYLUMでやります!

今年の夏こそ、企業やブランドのセンスや思想を身に纏うのはやめて、自分自身や愉快な仲間たちの楽しみや思いの詰まったTシャツを着て町に出よう!

今回のワークショップでは、自作の絵やTシャツにしたい写真、革命的デザインなどを版木にトレースして、オリジナル木版画Tシャツを作ります。

木版画は簡単で安価に複製できる民衆のメディアとして、人々の暮らしやメッセージを社会に伝えてきました。
そのプリミティブで、彫り跡や手摺りの痕跡の残る力強い表現は、言葉以上に人々の感性に訴えかけ、解放への道を指し示すことが出来ます。
実は身近な木版画で作ったTシャツを着て町に出れば、日常の生活の中で自らのメッセージや楽しみ、DIY精神を広く社会に伝えることも可能です。
それはブランドファッションよりも、強いメッセージとなるでしょう。

日時:2014年6月8日(日) 15時から(3~4時間)
場所:IRREGULAR RHYTHM ASYLUM
新宿区新宿1-30-12-302|03-3352-6916|irregular.sanpal.co.jp

参加費:無料(投げ銭制)
制作サポート:上岡誠二(artNOMAD

必要なもの:
■Tシャツ2枚(今回は黒インクで刷ります。黒以外のTシャツをご用意ください。新品でなくともかまいません。プリントTシャツでも裏返せば刷ることが出来ます。)
※2枚刷って、1枚を交換し合いましょう。(交換用のTシャツサイズは大きめがいいかも)

■版木:Tシャツにプリントできる大きさのもの(シナベニア、朴、桂など、画材店で入手できます)
※版木についてよく分からない場合は、実費(300円前後)で用意することも出来ますので、その際はお問い合わせください。
問い合わせ:seiji.ueoka(at)gmail.com *(at)を@に変えてください。

■下絵:可能であれば、自作の絵、Tシャツにしたい写真、コピーライトフリーなデザインなど、好きな下絵をTシャツの大きさに合わせて用意してください。
※Irregular Rhythm Asylumにある書籍、DIYグッズからもインスピレーションを得ることが出来ますので、気楽にご参加ください。

■その他
・汚れてもいい服装かエプロン/割烹着
・軍手かビニール手袋(摺るときに手が汚れないよう)
・古新聞紙(一日分程度)
・ビニール袋(刷ったTシャツを持ち帰るため。※乾燥するまでに、最低1週間はかかります。)
・黒インク以外で刷りたい方は油性版画用インクをご用意ください。
参考:サクラ版画絵具油性(安くて使いやすいです)
http://www.craypas.com/products/lineup/detail/52.php

DIYパンク版画コレクティブと革命的版画ワークショップ Ⅱ

IMG_0271IRREGULAR RHYTHM ASYLUMの成田氏が、とにかく布に木版を刷りたがっていたので、一応試してみた。

はがき大の桂の版木にIRAのロゴを彫って、シルクスクリーン用の油性インクを使って、よれよれのオーガニックコットンTシャツに、パンクロック・スゥラップに倣って、インクを転がした版木を上において、足でふみふみ。

インクが硬かったのか、圧が足りないのか、かすれてしまいましたが、それはそれで味になるのが木版画の面白いところです。

きっとそのうち、うまく刷れるようになるでしょう。

IRA_T
メーデーの晴天の下で

何もなくても版画はできる

正しい技法というものはない

少なくとも凸版形式の版画においては、その正しいつくり方などということを考えてみるのは、まず無意味なことである。
これは単にその外様性からのみいうのではなく、限られた個々の版種においても、その正しい技法などというものが、決して一つのルールとして決められる筈がないということである。凹版、平版の中には、いかんともしがたい化学的法則のあずかるプロセスもあって、たしかに薬品の使い方などある意味では正しい技法というものも必要ということになろう。しかし、それすらもある一つのプロセスを正しい技法の唯一の存在として理解するより、技術というものは実はその人の側にのみその時々に存在し、まったくそれは自由なものであるという理解のほうがはるかに重要なことではないだろうか。

技法は本来単純なものである

――しかしながら、現実に見る版画技術というものはひどく複雑な様相を呈している。
たとえば、日本の木版系の専門作家の中から適当に十人をとりだしてみよう。それがすぐれた作家であればそこにはすくなくとも十の異なったプロセスがある。それぞれにまったく自分勝手なものであるのに、人は驚くであろう。

これは、それぞれの作家が、個々の表現にもっとも適した効果を。自分なりにもっともたやすい手法によって求め、かつ多くの場合みずからそれを見出すということによって制作しているのが実状だからであろう。その一つがかなり面倒な手順を経るものであったとしても、それがみずから求めたものというところから、その意味するところはきわめて単純なものである筈だ。一見めちゃくちゃに見えても。それはその人にとって実に明快な意味をもった技法なのである。
それが、伝統的な木版画技術によったいわば古風なものであっても、みずからの肉体に墨を塗って紙面に押しあてたり、路上に拡げてマンホールの蓋を摺り取るといった新奇なものでも何でもかまわない。要するに、版画においても絵画としての表現がまず存在するのであって、それに版というものの効果と機能がプラスされること。そしてその表現内容と表現効果がもっとも単純にストレートに結びつくとき、そこに単なるプロセスとしてでなく、本来の技法というものの存在があるといってもよいのではなかろうか。

だから、正しい手法はない――ということはいいかえれば、技法とはまったく自由なものであり、その人その時に応じてすべてが正しい技法であり得るということ。技法は単純である――ということは、絵画としての版画技法はまたあらゆる可能性(プロセスとしては繁雑なものであってもいい)をもつべきものであるということなのである。
何もなくても版画はできる――ということも、したがって何をつかって、何をどうやっても(特別な用具材料がなくても)版形式の絵画的表現ができるということなのである。

『版画の技法』 凸版による技法 吉田穂高 美術出版社 昭和39年

DIYパンク版画コレクティブと革命的版画ワークショップ

2014年4月3日(木)午後7時から、新宿にあるインフォショップ「IRREGULAR RHYTHM ASYLUM」で行われた『アドバスターズ』のクリエイティヴ・ディレクター「ペドロ・イノウエ」さんのトークイベントの後、打ち上げの格安中華料理屋でIRREGULAR RHYTHM ASYLUMの成田さんから、マレーシアの版画アーティスト集団の活動が面白いと聞く。現地に赴いたRisaさんの探訪紀を読むと、なるほど面白い。その作品は、日本における戦後プロレタリア美術運動の下部構造としてのサークル運動的な民衆版画ではなく、パンクロックのDIY精神を引き継ぎながら、土着の文化とも繋がりを持ち続ける作品だ。都市ではなく、田舎町を拠点にしているそのDIY版画アーティスト集団の名前は、パンクロック・スゥラップ(Pangrok Sulap)。各地でワークショップを開きながら、DIY精神を伝えているようです。Facebookページに掲載されている写真やビデオを見ると、絵として紙に刷るだけではなく、布やTシャツ、ノートの表紙などにも刷っている。また、その刷り方に特徴があり、バレンやプレス機で刷るのではなく、版木や紙の上に直接乗っかって、足踏みしたり、時にはダンスしながら刷っています。これぞDIYパンク! そこで、東京でも版画ワークショップをやることにしました。

2014年5月4日『革命的版画ワークショップ』

workshop民衆の、民衆のための、民衆による版画運動の復興。かつて日本でも興隆していた民衆版画運動、そこにはプロパガンダ以上のものがあったはずです。ヒューマニズム、コミュニティー、ネットワーク。そして、美術と政治の蜜月。

なぜ木版画なのか。民衆が芸術を創りだすこと。その道を用意してくれるのが版画、特に、義務教育で幾度となく制作している、どんな人にも身近な木版画です。誰もが知っているベニア板やゴム/リノリウム板に、誰もが知っている彫刻刀で版を作ります。

なぜ版画なのか。水彩画や油彩画といった、いわゆる絵画との違いは、「刷り」という工程にあります。その工程を経ることによって、作品は作者本人から切り離され、ひとつの芸術作品として自律することでしょう。

また、転写版画は、版を作っている間にその完成を知ることは出来ません。常にその作品を、裏側から、または裏側を見ながら制作することになります。物事の見方、感じ方が変化するだけで、世界は違って見えるはずです。それを自分の体験とすること。そして、そこから世界を形作っていく事。これこそが「革命」なのです。

日時:2014年5月4日午後3時〜
場所:IRREGULAR RHYTHM ASYLUM
新宿区新宿1-30-12-302|03-3352-6916|irregular.sanpal.co.jp
参加費:無料
お題:参加者みんなでIRREGULAR RHYTHM ASYLUMのポスターを作ります。
制作サポート:上岡誠二(artNOMAD)
※手ぶらで大丈夫ですが、愛用の木版画道具などお持ちでしたら、持参してください。
※油性インクを使って刷ります。それほど汚れることはありませんが、汚れても大丈夫な格好、または実験で使用するような割烹着、エプロンをお持ちください。また、石油系の匂いが苦手な方はマスクをご用意ください。