山頭火を生きる:三月三日

さむいけれどうらゝかである、餅と酒と豆腐と。
樹明君を徃訪して、帰庵して、御馳走をこしらへて待つ、待ちきれなくて街をあるく、帰つてみれば、樹明君はちやんと来てゐて、御馳走を食べてゐる、さしつさゝれつ、とろとろとなる、街へ出てどろ/\となつて別れる。
・酔ひざめの春の霜
・藪かげほつと水仙が咲いてゐるのも
みんな酔うてシクラメンの赤いの白いの
・風がふくひとりゆく山に入るみちで
・すげなくかへしたが、うしろすがたが、春の雪ふる(樹明に)
・洗つても年とつた手のよごれ
・心あらためて土を掘る