山頭火を生きる:三月廿六日

歩いて兵庫へ、めいろ居へ。 神戸は国際都市であることに間違はなかつた。 ビルデイングにビルデイング、電車に自動車、東洋人に西洋人、ブルヂヨアにプロレタリヤ。…… めいろ居はめいろ君のやうに、めいろ君が営んでゐた、意外だつ […]

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山頭火を生きる:三月廿五日

早く起きる、八時の汽船に乗り込まなければならない。 こゝでも黙壺君の友情以上のものが身心にしみる、私は私がそれに値しないことを痛感する。…… 宇品から三原丸に乗る、海港風景、別離情調、旅情を覚える。 法衣姿の私、隣席にス […]

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山頭火を生きる:三月廿四日

おこされるまで睡つてゐた、夢は旅のそれだつた。 春雨、もう旅愁を覚える、どこへいつてもさびしいおもひは消えない。…… 澄太君が描いてくれた旅のコースは原稿紙で七枚、それを見てゐると、前途千里のおもひにうたれる、よろしい、 […]

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山頭火を生きる:三月廿三日

おくれて九時ちかくなつて宇品着、会社に黙壺君を訪ねる、不在、さらに局に澄太君を訪ね、澄太居に落ちつく、夫妻の温情を今更のやうに感じる。 樹明、白船、せい二、清恵、澄太、等、等、等、春風いつもしゆう/\だ、ぬくい/\うれし […]

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山頭火を生きる:三月廿二日 徳山から室積へ。

晴、朝早く駅へかけつけて出立。 物みなよかれ、人みな幸なれ。 八時から一時まで白船居、おちついてしんみりと別盃を酌んだ、身心にしみ入る酒だつた。 駅の芽柳を印象ふかく味はつた。 白船君の歯がほろりと抜けた、私の歯はすでに […]

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山頭火を生きる:三月廿一日 (東行記)

春季皇霊祭、お彼岸の中日、風ふく日。 樹明君から酒を寄越す、T子さんが下物を持つてくる、やがて樹明君もやつてくる。…… 出立の因縁が熟し時節が到来した、私は出立しなければならない、いや、出立せずにはゐられなくなつたのだ。 […]

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山頭火を生きる:三月十九日

花ぐもりだ、身心倦怠。 T子さん来庵、愚痴と泣言とをこぼすために(それを聞く私は辛いかな)。 夜はしんみり読書。

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山頭火を生きる:三月十八日

晴、今日からお彼岸。 なしたい事、なすべき事、なさずにはゐられない事。 早く旅立ちたい。―― 樹明来、同道して散歩、そしていら/\どろ/\。  春の水をさかのぼる  笑へば金歯が見える春風

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