楢山節

楢山祭りが三度来りゃよ
栗の種から花が咲く

塩屋のおとりさん運が良い
山へ行く日にゃ雪が降る

ねっこのおばやん納戸の隅で
鬼の歯を三十三本揃えた

かやの木ぎんやんひきずり女
せがれ孫からねずみっ子抱いた

年に一度のお山のまつり
ねじりはちまきでまんま食べろ

夏はいやだよ道が悪い
むかでながむし山かがし

なんぼ寒いとって綿入れを
山へ行くにゃ着せられぬ

三十すぎてもおそくはねえぞ
一人ふえれば倍になる

豆を食うなら ひやかして
お父っちゃんは盲で目が見えぬ

お父っちゃんは出て見ろ枯木ゃ茂る
行かざなるまい、しょこしょって

山が焼けるぞ 枯木ゃ茂る
行かざなるまい、しょこしょって

つんぼゆすりでゆすられて
縄も切れるし縁も切れる

お姥捨てるか裏山へ
裏じゃ蟹でも這って来る

這って来たとて戸で入れぬ
蟹は夜泣くとりじゃない