ホスタイル・デザイン

以前からアートを排除することはあったと思う。聖像破壊運動やナチスの「退廃芸術展」などいろいろ思いつくものはあるが、芸術作品が排除の道具になったことは、近代以前は無かったのではないか。最近は「排除アート」が流行っているそうで、公園のベンチをはじめ街中に転がっている。岡本太郎が「座れない椅子」の作品を作っていたと思うが、「排除アート」のプロトタイプになったのかもしれない。ところで、僕は芸術と思える「排除アート」に出会ったことがない。昨今は何でもアートだそうなので、言葉や呼び方はどうでも良くなってきているが、少なくとも海外では、排除「アート」とは言わないらしい。Wikipediaによると、「英語でこれに相当するものはホスタイル・アーキテクチャ(Hostile architecture、「敵対的アーキテクチャ」)と呼ばれるほか、ディフェンシヴ・アーキテクチャ(defensive architecture、「防御的アーキテクチャ」)、ホスタイル・デザイン(hostile design、「敵対的デザイン」)、アンプレザント・デザイン(unpleasant design、「不快デザイン」)、ディフェンシヴ・アーバン・デザイン(defensive urban design、「防御的アーバンデザイン」)などと呼ばれることもある。 」英語で表現されている通り「排除技術」は建築やデザインの範疇だと思うが、だれが「排除アート」なとど言いはじめたのだろう。せめてアートは、フランダースの犬のルーベンスの絵のようであってほしい。高額の観賞料を払わなくても、ネロとパトラッシュはそれを観ることができ、念願を果たすことができた。