山頭火を生きる:三月廿六日

歩いて兵庫へ、めいろ居へ。
神戸は国際都市であることに間違はなかつた。
ビルデイングにビルデイング、電車に自動車、東洋人に西洋人、ブルヂヨアにプロレタリヤ。……
めいろ居はめいろ君のやうに、めいろ君が営んでゐた、意外だつたのは、ピヤノのあつたこと。――
わざ/\出迎へて下さつたのに、出迎への甲斐がなくて、めいろ君にも詩外楼にもすまなかつた、それもかへつて悪くなかつたが。
 ぽつかり島が、島も春風
 島はいたゞきまで菜ばたけ麦ばたけ
・ここが船長室で、シクラメンの赤いの白いの(三原丸)