第13期ワンピース倶楽部展「はじめてかもしれない」

日本で最初の画廊をオープンしたのは「智恵子抄」で有名な彫刻家、高村光太郎だと聞いています。その頃はキュレーターはもちろんの事、ギャラリストもいなかった。美術作家が自律できていた時代だったのでしょう。とはいえ、制作を継続していくためには、いつの時代も美術収集家の存在は欠かせない。いろんな繋がりや出来事で「ワンピース倶楽部」という個人美術収集家グループの存在を知る。そのマニフェストは、

(1) ワンピース倶楽部の会員は、一年の間に最低一枚、現存するプロの作家の作品を購入します。
(2) ワンピース倶楽部の会員は、自分のお気に入りの作品を見つけるために、ギャラリー巡りや、美術館巡りなど、審美眼を高めるための努力を惜しみません。
(3) ワンピース倶楽部の会員は、各年度の終了したところで開催される展覧会で、各自の購入作品を発表します。

作品を購入したことが無い人も多い気がするキュレーターや評論家と違って、美術作家にとって何とも頼もしい存在だと思う。その「ワンピース倶楽部」が主催する展覧会が現在(9月25日~27日)アーツ千代田3331で開催されている。正直に言うと、あまり期待していなかったのですが、なかなか面白い展覧会でした。一点一点に購入の動機が記されていて、いわゆるコレクター展のようなビジネスとは違った視点のものなのではないかと思います。大浦信行氏の「遠近を抱えて」(オークションで購入とのこと)全作品が展示されていたのも、この「ワンピース倶楽部」の奥の深さを垣間見るようでした。

自分自身がいまだに作品の売り買いに戸惑っている状態なので、この運動をどう捉えればいいのか躊躇していますが、少なくとも先日観に行った、東京都現代美術館の「オラファー・エリアソン」展の優等生的な感性よりは、刺激的なものであったことは間違いありません。