民衆芸術運動(22)


今、この趣意書を読むと、山本鼎の興した「農民美術運動」とは、大正デモクラシーの時代の中で、選挙権を得るとともに「国民」となることを望む民衆運動が盛り上がる中、小作農民を美術を通して、資本主義国家となった日本の国民としていく運動であったことが判るのだが、それは同時に農民の自主・自立を促す事にも繋がっている。次官が村にやってくるからと村中に国旗を掲げるような、農村部においてはいまだ封建制度から抜け出せていない、そのような時代であった。