加藤一夫の民衆芸術論「民衆芸術の意義」

加藤一夫は民衆芸術論の後に農民文芸論を出している。加藤にとっての芸術とは「文芸」のことであった。直接的に感情の吐露を表現できる美術に比べ、言語による抽象化が必要で、その教育も不十分であった文芸は、民衆芸術としては敷居が高いかもしれない。民衆芸術としての文芸を、民衆自らがどのように創造していくのか、その糸口を見つけ出そうと苦悩している加藤の考察である。