山頭火を生きる:三月七日

晴、春風しゆう/\だつたが、午後は曇つて降つた、しかし昨日の雪のとけるといつしよに冬はいつてしまつたらしい。
草が萠えだした、虫も這ひだした、私も歩きださう。
一片の音信が、彼と彼女と私とをして泣かしたり笑はしたりする、どうにもならない私たちではあるが。
街へ出て、米すこしばかり手に入れる、餅ばかりでは困る。
心臓がわるい、心臓はいのちだ、多分、それは私にとつて致命的なものだらう。
どうせ畳の上では徃生のできない山頭火ですね、と私は時々自問自答する、それが私の性情で、そして私の宿命かも知れない!

・晴れて風ふく春がやつてきた風で
・日がのぼれば見わたせばどの木も春のしづくして
・む(マヽ)のむしもしづくする春がきたぞな
・木の実ころ/\ころげてくる足もと
・豚の子のなくも春風の小屋で
・まがればお地蔵さまのたんぽぽさいた

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