中原中也「骨」と「近代詩Tシャツ」

昔、多分1995年の夏に作っていた「近代詩Tシャツ」。最近、木版Tシャツとかやっているので、押入れの奥のTシャツダンボールをひっくり返すと出てきた。以前、サンタモニカで撮った、そのTシャツを着た写真をツイートしたのを、「アナログラジオ素人の乱」キャスターの松本るきつらが覚えていて、欲しいというので確認すると、着古しているしちょっとシミも付いていた。きっとメルロースのタコスのソースだ。とりあえず洗濯したけど、こんなのホントに要るのだろうか?

写真

 中原中也

ホラホラ、これが僕の骨だ、
生きていた時の苦労にみちた
あのけがらわしい肉を破って、
しらじらと雨に洗われ、
ヌックと出た、骨の尖。

それは光沢もない、
ただいたずらにしらじらと、
雨を吸収する、
風に吹かれる、
幾分空を反映する。

生きていた時に、
これが食堂の雑踏の中に、
坐っていたこともある、
みつばのおしたしを食ったこともある、
と思えばなんとも可笑しい。

ホラホラ、これが僕の骨――
見ているのは僕? 可笑しなことだ。
霊魂はあとに残って、
また骨の処にやって来て、
見ているのかしら?

故郷の小川のへりに、
半ばは枯れた草に立って、
見ているのは、――僕?
恰度立札ほどの高さに、
骨はしらじらととんがっている。